おかえりなさい、ゆっくりしていってくださいね

空を見てると自分がちっぽけに見える、ってそんなはずねーだろって話

空を見てると自分がちっぽけに見えるんです。

んなはずねーだろ、とテレビに向かって逆ギレ。小声でぼやく。どんだけ心が綺麗で、どんだけ器がデカくて、どんだけ前向きなんだよ。

人間、一度落ち込むと上を向くまで時間も掛かる。安直に空を見上げて頑張れるほど、世の中は優しくない。

ふかふかしたカーペットを撫でながら、溜め息混じりで画面を眺める。やっぱり皆んな苦労してるんだよね。分かっちゃいるけど、八つ当たりしたくなる。

塞ぐ気持ちの栓を抜くように上を眺める。いつもと変わらない蛍光灯が、か細くこちらを照らす。外からの日差しの方が柔らかくて気持ちが良い。

なんとなく空を見上げたくなった。

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空を見上げる為に散歩する、と誰かに喋れば間違いなく病んでると勘違いされる。何かしら理由が欲しいと脳みそをフル回転させた結果、買い物に行くことにした。ちょうどセールも始まったことだしタイミングはバッチリ。

干してあったパーカーをペシャリと地面に置き、おもむろに肌着を頭から被る。光を存分に浴びたヒートテックは、心地良いポカポカさを感じさせる。あまりの気持ちよさに微睡みそうになるも、パーカーを羽織って気持ちを切り替える。仕上げでイスに畳んである黒いスキニーを履く。この段落なっがいよね。

外に顔を出し、開口一番で空を見上げる。

うーん、青い。広い。でけぇ。

猿並みの感想しか出てこない。自分はちっぽけな存在だ、もっと頑張ろう的な感覚が1ミリもない。神様ずるい、僕にもその才能が欲しい。

仕方なしに買い物に出掛ける。とはいってもぷらぷらと散歩しながら自分と向き合う時間を取ることは、非常に尊いことだと感じる。無駄な時間ではない。

あれこれ考えてたら目的地に到着。とりあえずなんか買おうとウロチョロするも、めぼしいモノもなく帰宅。買い物失敗。

帰り道にコンビニ寄って飲み物と肉まんを頬張る。うめぇ。

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ふと、空を見上げる。相変わらず青くて、広くて、デカい。ムカつくほど気持ちが良い。

世の中は広い。

悩みが積もれば人は殻に篭り、外の世界から自分を隔離する。悪化することを恐れ、変化を拒み、現状維持に努める。安全な方に進むことで余計に事態を深刻化させる。

だったら、自分はちっぽけだと認めて、気持ちを切り替える方が利口ではないだろうか。

簡単に出来るとは思ってない。自分自身、気持ちの切り替えが上手くできず、苦しむことの方が多い。そこまでメンタルは強くない。

自分はちっぽけではない。けど、世界はバカ広くて、自分の見えてる世界はどう頑張ってもごく一部。

死ぬほど苦しくても、人生で一番幸福でも、目も当てれないほど恥をかいても、心が壊れるほど哀しくても、自分の中で天変地異が起きるほど大きな出来事も、まぁ、他人にとっては些事なんですよね。

バカバカしくなったもん勝ち。

結局は自分がどう捉えるかなんですよね。同じように悩んでる人も居れば、全く気にしない人も居る。苦しくて、辛くて、哀しくなったら、自分の殻から飛び出て、自分の悩みが馬鹿馬鹿しく感じられる世界を知れば良い。

ちっぽけなんて卑下しなくて良い。別の世界を知れば良い。

青くて綺麗な空を見てると、なんだかそんなこと想うんですよね。

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家に帰るとテレビの続きがやっていた。どん底から這い上がった人間の有り難い教訓を学ぶ番組だ。

少し前までバカにしていた。それは自分の世界に引き篭もり、外の世界を拒絶したからだ。まっさらな気持ちで空を見た時、やっと言葉の真意を感じることが出来た。

空を見てると自分がちっぽけに見えるんです。

飲みかけのいろはすを飲み干し、まだまだ自分はちっぽけだなと笑いながら小声でぼやく。

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